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ゴメンね。 [家族]

4月の終わりの日曜日、母が死んでしまいました。

検査をしても、どこも悪くなかったけど、なにも食べられなくなって、
静かに逝ってしまいました。



小町娘だった母は、気が強くわがままで、帽子と靴が好きでした。
家事は嫌いなくせに、トムヤンクン鍋とかいろいろなお鍋をたくさん持っていました。
完璧に入れ物オタクでした。

洋服づくりが好きで、自分でデザインして、いつも何かを創っていました。
ひと月前ほど、サルエルパンツの型紙と、よさげな布を探しておくね、って電話で
言ってくれていたのに。
おばちゃんなのに「ハイファッション」なんて、普通の若い人も読まない雑誌を読んで
デザインのアイデアを得ていたのね。

目利きの母は、海外やあちこちで買い集めた、素敵なものに囲まれて暮らして
いました。
私の母への海外旅行のお土産は、いつもアンティークの銀のスプーンと決まって
いました。パリやロンドンの蚤の市では、ボタンも買いました。
母のセンスには私も一目置いていたけど、骨董市で、古いバティックの版木とか、
和菓子の型とかを買うのはいいとして、鉄製の、一尺ほどの長い柄の付いた腰元
が持つようなポータブルろうそく立ては、止めさせました。



あんなにモノに囲まれていたのに、何を着せてほしいとか、何を棺に入れてほしい
とか、何も言わないで逝ってしまいました。

もっとしてあげればよかったけど、仕方ないのかな。

生まれる時代が違えば、もっと楽しい人生を過ごせただろうな。

DSCN6452.JPG
お母さんのおかげで、今年はどこにもいかず、満開のモッコウバラを見られます。

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